ネガティブの人が無理にポジティブになる必要はない

よく自己啓発系の本に多いのが、ポジティブになろうとか、ポジティブに生きようとかいった話だ。

確かにポジティブに生きれれば、常にプラス思考で落ち込むこともないだろうし、何より周囲からは常に元気で明るい人だとみなされるので、得なことばかりだ。

ネガティブな人間からしてみれば、そういった生き方が非常にうらやましく、時には妬ましく感じてしまう。

ただ、いくらネガティブな人間が、ポジティブに考え方を変えようとしても、相当な時間もかかるし、最初はかなりのストレスにもなるし、費用追効果は薄いと思う。何より人は、それぞれ育ってきた環境が違うので、そう簡単には変わらないのだ。

自分を変えたいなら環境が大幅に変わるタイミングがチャンスである

もし変わりたいのであれば、何か大幅に自分が変われるようなタイミングを見つけることが必要だろう。

例えば、転校・転勤・一人旅・長期休暇・引っ越しなどのように、何か環境が大きく変わるような時がチャンスである。今で言うと、コロナで大幅に仕事の環境が変わっている方もいるのではないだろうか。

そういった時がネガティブなことに限らず、自分を変えることができるチャンスと言えるだろう。

周りの環境が大きく変わることで、自分もそれに適応するため、変わっていきやすいのだ。これは、自分を一から変えようと取り組むよりは、はるかに取り組みやすいのではないだろうか。

何度も言うが、ほんとうにコロナはそのチャンスを与えてくれたので、変わるチャンスだといえるだろう。

無理に自分を変えなくても別にいいかなとも思う

中には自分を変えてまで、ポジティブになりたいとは思っていない人もいると思う。どちらかというと私もこちら側の人間だ。

そういった人は、ネガティブのことをもっと理解して、ネガティブを活かせるようにしていくよいいだろう。

ネガティブな人は、すごくいい面がある。それは、小さな成功についてポジティブな人以上に喜ぶことができるのである。

例えば以下のようなことだ。

  • 友達から遊びの誘いの連絡がきた
  • 異性から話しかけてもらえた
  • 上司から褒めてもらえた
  • 努力が報われた
  • 並ばないでマスクを変えた
  • 同僚からお菓子をもらえた
  • スケジュール通りに物事が進んだ

こういった些細なことでも、人前では喜びを出さないが、実際に自分の内側では100%の喜びになっているのだ。

他の人にとっては大したことないことであっても、ネガティブな人から見れば、それは非常に喜ばしいこととして受け入れられるので、正直なところ、無理にポジティブになる必要もないのではないかと感じる。

また、ネガティブな人には、危機回避能力がある。新しいことはやらずに、様子を見て安全だと判断したら、やってみる。非常に慎重なタイプなのだ。

このため、自分の知らないことや興味のないことについて、実行しなければならない時がやってくると、そのことについてまずやってみるというより、情報をとにかく集めて調べまくるということを行う傾向がある。

このようにネガティブな人は、とにかく調べて、分析して、実行するという能力が長けているため、失敗しにくいのだ。常に最悪の事態を想定しながら行動できるともいえるだろう。

ただ、実際に失敗してしまうと慌てたり、焦ったりして頭の中が真っ白になることもある。その時はどうしようもないかもしれないが、ポジティブな人に頼るのがいいだろう。

しかし、ネガティブな人がすごいのは、この失敗を次に生かすことができる点である。人は、なかなか自分の失敗や反省を生かして次につなげるというのが難しいものなのだ。

皆さんも同じことで何度も注意されたりすることは経験があるのではないだろうか。こういうことに対しては、ネガティブの人は比較的強い傾向にある。

ネガティブな人は、ポジティブな人以上に猛省し、なぜ失敗したのかをひたすら考え分析し、今後同じような状況になった時の解決策を導き出すことが得意なのだ。

こういったことから、ネガティブな人が無理にポジティブになろうとしなくてもよいのである。

ネガティブな人は意外としっかりしている

ネガティブな人は、消極的で自信がないように周りからは見えているかもしれないが、実はしっかりしている人が多い。

自分からは発言しないかもしれないし、叱られたことに対して意見をその場で発言することはできないかもしれないが、きちんと考えはもっているし、それをまとめる力もきちんとある。

例えば、会議などでは、発言する場を設けるより、アンケート用紙のようなものでの記入方式にすると、ネガティブな人は、パワーを発揮するのだ。

その場での臨機応変的な対応こそはできないかもしれないが、それを経験した後に同じことが起こった場合、しっかりと対処することができる。

また、口頭で討論することはあまり得意でない面もある。なぜなら次から次と話の内容が変わっていくので、それについていくのが精一杯で、自分が発言することを考えている時間がないからだ。また、事前にないテーマの議題があがるとお手上げだ。準備していないことに対しては、何もすることができない。

こういった場合は、ことが落ち着いてから、自分で考えたことをまとめて、改めて報告なり共有していくことがいいだろう。期日などが迫っているものについては難しいかもしれないが…

こういったネガティブな人の特徴を、周りの人が理解してくれないことが非常に多いと感じる。もっと理解されるようになれば、活躍できる場が与えられるのにほんとうにもったいない。

さらに言うと、理解してくれる人が増えれば、ネガティブな人の思考が徐々にポジティブになっていくことができるのではないかと感じる。

それは、ただのポジティブということではなく、ネガティブの特徴を引き継いだポジティブ思考だ。前向きに物事を考えられるのと同時に、細かいことにも気を配れ、調べる能力や反省する能力も備わっているので、さらにアップデートしていけることになる。これは真のポジティブであるといえるだろう。

ポジティブな人がネガティブな人を理解できるようになること、ネガティブな人は、ネガティブのことを理解できるようになれば、今後が明るくなっていくのではないだろうか。